住宅火災、木造住宅は大丈夫か?2023年1月16日(月)
[住宅建材]
これから寒い冬の時期は、世の中が乾燥気味になって参りますが、ここ最近火事の話題が増えてきています。
特に12月~3月期は一番火災発生が多い時期となります。
(※下記総務省消防署 附属資料1-1-35 建物火災の月別火災件数 参照)
万が一の事態に備えて、我が家を建てる際の建材が火災に強いのかも気になるところです。
今回は、住宅の災害(火事)になりにくい建材について触れてみたいと思います。
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1)火事災害は、寒い時期に多く発生する?
2)木造住宅は火災には弱い?
3)火災時の死亡原因は?
4)理想的な住宅建材は?
5)まとめ
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1)火事災害は、寒い時期に多く発生する?
日本での火事の発生件数は、年間平均では1,780件となり、それを上回る月は12月~5月となります。
上記の通り、寒い時期に多く火災発生していますが、この背景には空気が乾燥していることが関係しているようです。
※気温と湿度の関係【グラフ】湿度と気温の年間推移
当たり前ですが、寒い時期は皆、暖をとろうとストーブやコンロを着ける家が多いのは言うまでもありません。
温かい時期に比べると火を使うことが多くなれば、当然火事リスクも高まります。
また、燃え広がる要因としては、風が関係しています。
このように、寒い時期は世の中全体の空気が乾燥しており、一度火事が起こると風も相まって燃え広がるため、火災発生が多い事が分かります。
【グラフ】火災発生件数の月次推移
2)木造住宅は火災には弱い?
日本の住宅を木造住宅と非木造住宅で分けてみると、だいたい6:4となり木造住宅の方が多いです。
木造住宅は、土台、柱、梁を中心に野地板や根太など、ほとんどが木材で出来ております。
その背景には、木材建築時に加工しやすいため費用を抑えやすく、断熱性能や給放出性能に優れていることがあります。
木材は、普通に燃やすと燃えやすいのですが、住宅用建材の柱や梁などは太くて大きい為、燃やそうとしても表面が焦げるだけで、なかなか燃えません。表面が炭化すると炭化層が酸素を遮断するため、逆に内部まで燃えにくくなり、燃え滾るまでかなりの時間を要します。
これに対し、鉄骨造の住宅では厚さ6㎜程度の鉄を使って構造を保っています。
鉄は日に強いイメージがありますが、熱さ250℃くらいから形状が変形し始め、800℃を超えるとしっかりとしていた鉄が脆くも曲がりくねってしまいます。
昨今の住宅は、木造及び鉄骨造に関係なく、火災の際には家の中のカーテンや絨毯、衣服や壁クロスなどから火が広まることが多いようです。
そのため、鉄骨造の一定温度を超えた場合を考えると、木造の住宅の方が耐火性が高く、火災時の避難リスクが低いということが分かります。
3)火災時の死亡原因は?
火災時の死因を見てみると、やけどが一番多く、次に一酸化炭素中毒、窒息となっています。
※令和元年消防白書
死者数のうち、約49.4%の方が逃げ遅れです。65歳以上の高齢者が約70%以上も占めています。
一体なぜここまで高齢者の命が奪われてしまうのでしょうか?
その大きな原因は、化学物質を吸引してしまうことにあります。
一酸化炭素やその他有毒ガスを吸い込むと息が出来なくなり、意識を失って取り残された方も多くおられます。
また、意識はあっても身体が動かず、火に巻き込まれてしまうこともあるようです。
現在の住宅は、新建材と言われる合板(ドアやキャビネットなど)、ビニールクロス(壁紙)、アクリル塗装製品(フローリング)、ウレタン(断熱材)、などなど、石油を使った化学合成製品で作られているものが多いです。
これは、石油由来の製品のため、燃やすと燃やすとダイオキシンが発生し、気密性が高い家程家じゅうにこのダイオキシンが充満します。
火事の最中に綺麗な空気を取り入れれば、換気は出来ますが、燃え広がる要因になる為換気は出来ません。
火災だけのことを考えれば、新建材の使用は控えた方が良いのかもしれません。
ビニールクロス壁紙 合板 ウレタン画像
4)理想的な住宅建材は?
石油製品はいつから使われ始めたのでしょうか?実は、1860~1870年くらいと言われています。
1870年、ジョン・D・ロックフェラー(John D. Rockefeller)が米国オハイオ州でスタンダード石油会社(Standard Oil Company of Ohio)を創立したが、これが近代産業としての石油事業の始まりとされているようです。
その前には、石油製品が無かったので、住宅においては現代のような快適性はなかったことでしょう。
しかし、現在のような石油製品から出る黒い煙を生み出す火災にまでは発展しませんでした。
新建材のような石油製品を使わずに快適性の高い天然素材だけで作る家があったらベストなのでしょうね。
昔の家は、床は木材やタイル、畳を使っており、住宅建材の精度も今以上ではなかったため、温熱環境や快適性は低かったことは容易に想像できます。
今現在、むかしながらの天然の建材を使った家づくりをしている住宅メーカー、工務店もまだまだあるようです。
逆に昔ながらの天然の建材を使い、快適性も遜色なく、機能性が高い家も数多くあるようです。
例えば、漆喰という壁・天井用の建材では、調湿性能、消臭効果、抗菌・抗ウィルス効果、反射性能、意匠性能、
他色々な効果があります。
フローリングは、化学接着剤を使わず、天然の木材のみで出来ているものもあり、特徴としては木が呼吸しているので、調湿効果も期待できます。
断熱材には炭状のコルク(=炭化コルク)を外断熱として使用しているため、調湿効果、消臭効果、衝撃緩和効果や防音効果も期待できるようです。
屋根にはフックで天然石を引掛けて載せ、無機質である石の特徴から劣化の心配もありません。
今現在もこのように、石油由来の製品に頼ることなく、天然素材でありながら機能性の高い建材も数多く使われています。
5)まとめ
・寒い季節になると、暖を取ることが多くなり、湿度が低く、風も相対的に強い為火災が発生・拡大しやすくなる。
・木造住宅は、火事に弱いイメージがあるが、木が燃える時に表面が炭化することで酸素を取り込めなくなるため燃えずらい。
・反面、鉄骨住宅の鉄は800℃で曲がりくねってしまうので、火災には弱い。
・火災時の死亡原因は、やけど、一酸化炭素中毒の順で多く、高齢者に偏っている。
・新建材は石油由来の成分が含まれている為、燃えるとダイオキシン類が発生し、吸い込むと意識喪失したり、身体が動かなくなってしまうため、できれば、施工精度や快適性が高い新建材ではなく昔ながらの建材の使用が望ましい。
・昔ながらの建材でも機能性に優れている天然素材はたくさんあり、今現在も使われている家はたくさんある。
このブログを書いた人
株式会社トミス建設