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正しい断熱材の選び方2023年1月31日(火)

[住宅建材]

 先日、10年に一度の寒波到来のため、不要不急の外出を控えるよう気象庁が呼びかけており、新名神高速でトラックなどが17時間も高速道路上で動けなくなったニュースは数日前のことです。
 
家にいれば寒さは凌げるのですが、住宅の断熱材の効果が使う材料によって寒さが異なるのは皆さんもご存じの通りです。  
昔の住宅は、隙間があったり、断熱材が無かったりと、家の中がとても寒かったですよね。
気流止めが無かったことや隙間から冷機が上がってきて底冷えが起り、高齢者の方もヒートショックで多くの方が亡くなった時代もありました。
 
家の温かさ・寒さは、断熱材の違い以外にも窓の熱損失の影響も大いに関係するのですが、今回は断熱材についてお話してみたいと思います。

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目次
【断熱の歴史】
【断熱材の種類】

 1)「石油系」断熱材
 (1)「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPSとも呼ばれる)」
 (2)「押し出し法ポリスチレンフォーム」
 (3)「硬質ウレタンフォーム」
 (4)「高発泡ポリエチレンフォーム」
 (5)「フェノールフォーム」
 2)「鉱物系」断熱材
 (1)「グラスウール」
 (2)「ロックウール」
 3)「自然素材」断熱材
 (1)「セルロースファイバー」
 (2)「ウール」
 (3)「炭化コルク」
【断熱材の3つの施工方法】
 1)充填断熱
 2)外張り断熱
 3)付加断熱
断熱材を選ぶ際の注意点
【高性能住宅のメリット】
 1)省エネルギー
 2)部屋の温度を快適にしやすい
 3)断熱性能の低下を防ぐ
 4)換気を効率良くすれば、不快な臭いの発生を防ぐ
 5)寒さを感じにくい
 6)湿度を安定させやすい
 7)外気の汚れや湿気の侵入を防ぐ
【高性能住宅のデメリット】
 1)施工コストが掛かる
 2)結露リスクを高める場合がある
 3)換気が必要なため、燃料式石油ストーブを使いづらい
 4)換気不足のため、二酸化炭素濃度が高くなる
 5)換気不足のため、臭いがこもる
 6)内外気の温度差があるため、湿度管理が必要
 7)湿度が高まると、カビの発生リスクが高まる
【まとめ】
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【断熱の歴史】

 まず、日本の断熱材の歴史は、昭和40年代の高度成長期に北海道でグラスウールや発泡スチロールが使われ始めたことが起源のようです。
グラスウール断熱材発泡ウレタンフォーム
最初は、この断熱材を使うと家の中がとても温かくなることで普及したのですが、逆に数年後には内外気の温度差による結露の影響で住宅木材の腐朽が大きな問題となっていきました。

 
 その問題を解決するために、壁に通気層を設けて結露を起こさせない形をとったり、透湿防水シートを利用して外からの水はブロックし、室内の湿気は外に出すという仕組みを取ったりと工夫を重ねながら日本の断熱性能は向上しており、現在は当時の諸問題を解決しつつ快適な温度環境を保てるようになりました。

そもそもなぜ日本の住宅では、断熱材が使われなかったのかというと、夏の暑さを基準に考えていたからなんですね。
夏は服を脱ぐ以上のことで、熱さを凌ぐことが難しかったことが背景にあります。
逆に冬は服を着れば夏よりもマシという考えです。
そのため、庇を作って直射日光が当たらないようにしたり、適度な隙間を設けて風通しを良くしたりと夏の暑さに対する対策がメインの構造であったんですね。冬は我慢で乗り切るといった考えです。
 
近年では、1973年(第1次オイルショック)、1978年(第2次オイルショック)が起り、省エネの対する考え方が主流となりました。
その影響もあり、1979年に省エネ法が制定され、ようやく翌年の1980年に省エネルギー基準が各地区ごとに定まったんです。
 

【断熱材の種類】

大きく分けると3つあります。

1)「石油系」断熱材

(1)「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPSとも呼ばれる)」

一般には「発泡スチロール」として知られ、形状はボード状ポリスチレン。
樹脂に発泡剤や難燃剤を添加してビーズ状にしたものを発泡成形した断熱材。
耐水性があり、軽くて衝撃にも強いのが特徴。

(2)「押し出し法ポリスチレンフォーム」

外張り断熱工法や家の基礎部分の断熱によく使われ、形状はボード状。
材料はビーズ法とほぼ一緒だが、成形方法が異なり、硬質で耐圧力があり、吸水・吸湿性が小さい。

(3)「硬質ウレタンフォーム」
発泡ウレタンフォーム
ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えて成形し、外張り断熱工法で使用されることが多い。外張り断熱では定番の断熱材。
ボード状のものを使用する他、現場で壁などに直接吹き付ける方法がある。
マンションで充填断熱に使用する場合、吹き付ける施行方法でよく使用される。

(4)「高発泡ポリエチレンフォーム」

ポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて成形。形状はボード状。他の石油系断熱材より柔軟性があるので狭い部分に充填しやすい。

(5)「フェノールフォーム」

フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えて成形し、長期的に安定して断熱性能を保つという特徴がある。
防火性に優れており、炎を当てても煙や有害ガスをほとんど発生しない。
形状はボード状のほか、金属板や石膏ボードなどとの複合パネルもある。

 

2)「鉱物系」断熱材

(1)「グラスウール」
グラスウール断熱材

ガラスを熔解して繊維状にし、接着材を吹き付けて成形した断熱材。
グラスウール板は国に不燃材料として認められており、日本だけでなく北欧や北米でもよく使われている。
かつては結露やズレ下がりなどが指摘されたこともあったが、施工技術の進化や性能の向上などにより、現在はそうしたマイナス面が解消されている。形状はボードやマット状、バラした綿のようにした状態などがある。

(2)「ロックウール」

玄武岩や鉄鋼スラグ(製鉄時の副産物)などを溶かして繊維状にした断熱材。グラスウール同様不燃材料と認められている。日本でのシェアはまだ少ないが、北欧ではグラスウールと同じくらいシェアがある。マンションの外張り断熱工法(下記参照)でも使用されることが増えている。形状はボードやマット状、バラした綿のようにした状態などがある。

3)「自然素材」断熱材

(1)「セルロースファイバー」

 新聞の古紙などを粉砕して綿状にした断熱材。
綿状で、施工方法は雪をつもらせるように敷きつめる「吹き込み」と、壁などに直接固着させる「吹きつけ」がある。
グラスウールよりも吸音性能が高く、自然系の中で一番歴史があるため最もメジャーな断熱材。

(2)「ウール」

 原料は羊毛。形状はマット状かバラした綿のようにした状態がある。
自然系の中では安価で、最近よく使われるようになってきた。

(3)炭化コルク

炭化コルク
コルク樫の樹皮を剥ぎ取り、800℃の高温窯で蒸し焼きにして成形している為、発火温度が高く耐火性がある。
炭になっている断熱材のため、炎を出して燃え広がることは無い。
外断熱として使用することが多く、天然素材ならではの通湿・通気性があり、通気工法も必要なし。
断熱効果に加え、調湿・消臭・防音・防虫効果などがあり、健康への貢献度が高い断熱材。

【断熱材の3つの施工方法】

1)充填断熱

 柱と柱の間など、躯体内の空間に断熱材を充填する工法

 充填断熱のメリットは、外張り断熱工法と比べてローコストで施工できることが多く、ほとんどの種類の断熱材を使用できます。
デメリットとしては柱と梁のつなぎ目などを避けながら気密・防湿シートを張る必要があるため施工方法が比較的煩雑などが挙げられます。

2)外張り断熱

 柱の外側に断熱材を張り付ける工法

 外張り断熱工法は柱を外側から覆うため充填断熱と比べて柱部分からの熱の出入りがないので、断熱性に有利です。
また、充填断熱とくらべて施工しやすい工法です。
デメリットとしては断熱材が厚すぎると、あるいは地震で揺れたりすると垂れ下がる危険があるためその対策工事が必要なことや、壁厚が増えるため狭小地では充填断熱よりも室内が狭くなることなどが挙げられます。

 なお、外張り断熱工法や基礎部分の断熱などではグラスウールなど防蟻性の高い断熱材が有利です。

3)付加断熱

 充填断熱と外張り断熱の両方施工する工法。

 付加断熱は、断熱材を現状ある断熱材に付加するため、幅を取ることに加え、通常の断熱材に費用も加算されます。
しかし当然ですが充填断熱や外張り断熱だけよりも断熱材が厚くなるため、断熱性能が高まることは言うまでもありません。

断熱材を選ぶ際の注意点

 断熱材の性能だけに拘るのであれば、C値の数値が低いものを選べばよいです。
C値とは住宅内の気密性を示す指標で、数値が低いほど気密性が高いくなります(C値=住宅全体の隙間の合計面積÷延べ床面積)。
気密性が高いということは、断熱材も隙間なく施工が出来ているといって良いです。
気密性に拘った家づくりをしているメーカーや
工務店の基準値は、C値は1.0㎠/㎡以下と言われています。C値が0.7位がベターです。
 

【高性能住宅のメリット】

1)省エネルギー

2)部屋の温度を快適にしやすい

3)断熱性能の低下を防ぐ

4)換気を効率良くすれば、不快な臭いの発生を防ぐ

5)寒さを感じにくい

6)湿度を安定させやすい

7)外気の汚れや湿気の侵入を防ぐ


【高性能住宅のデメリット】

1)施工コストが掛かる

2)結露リスクを高める場合がある

3)換気が必要なため、燃料式石油ストーブを使いづらい

4)換気不足のため、二酸化炭素濃度が高くなる

5)換気不足のため、臭いがこもる

6)内外気の温度差があるため、湿度管理が必要

7)湿度が高まると、カビの発生リスクが高まる


【まとめ】

 しかしながら、上記の通り断熱性能を上げると必然的に気密性能も上がる為、有害物質を部屋の中に入れさせないこと、籠らせないことが最重要となります。

 
 24時間換気システムは2003年の建築基準法改正で設置が義務付けられましたが、実際、換気機能を止めてしまう方も多いようです。
そうすると目に見えない二酸化炭素や一酸化炭素を含むVOC(揮発性有機化合物)等の有害物質が部屋の中に充満し、めまいや頭痛、咳などの原因になる可能性が高いです。
特に石油由来のVOCは、シックハウスや酷い時には化学物質過敏症などに発展する可能性もありますので、特に注意が必要です。
 
 正しく行い、正しく生活すれば快適で健康に過ごせますので、表面的な機能的数値やメリットだけに捕らわれず、断熱効果・デメリット等の全体を理解したうえで何を選ぶのかが重要となります。まずは偏りのない専門家に相談することをお勧め致します。

このブログを書いた人
・株式会社トミス建設