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屋根選びで失敗しない為の豆知識2023年4月15日(土)

[住宅建材]

皆様ががよく知る「屋根」という言葉は、むかしの家づくりに由来しており、「屋」は住居や住処を指しています。
「根」は、一説によると壁を設けない昔のつくりが屋根が壁の役割を担っており、地面まで屋根で覆われていた為、「根」という漢字が使われたようです。

今回は、現在の日本の住宅には欠かすことの出来ない「屋根」についてお話いたします。

 

【目次】

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1)屋根の歴史

2)屋根の種類
(1)スレート
(2)陶器瓦
(3)セメント瓦(コンクリート瓦)
(4)ガルバリウム鋼板
(5)ジンカリウム鋼板
(6)トタン
(7)アスファルトシングル
(8)銅板
(9)ステンレス
(10)天然スレート(石)
【屋根の種類のまとめ】

3)屋根の形状
(1)切妻屋根
(2)寄棟屋根
(3)片流れ屋根
(4)方形屋根 
(5)入母屋屋根 
(6)招き屋根 
(7)はかま腰屋根 
(8)陸屋根
【屋根形状のまとめ】
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1)屋根の歴史

家の形状は、徐々に高い建物になっていき、江戸時代には木造住宅の屋根が燃えやすい萱葺き屋根であった為、大火災が頻発しました。
江戸の町はその火災で1件も残らず燃えてしまったため家だけに留まらず、死者も10万人以上も出たようです。
その火事から家を守る為、板葺き屋根にするようにお触れが出されました。

そんな中、「滝山弥次兵衛」という江戸の町人が、誰よりもかっこいい屋根を葺こうと日本で瓦をはじめて採用しました。
ですが、瓦を屋根に葺くための費用や重量の影響を受け、道路側のみ葺いたため半瓦の弥次兵衛と呼ばれたそうですね。

その当時は封建時代のため、身分不相応との事でお咎めを受けたとか。

その100年後に火事の未然防止を目的に屋根の不燃化を町奉行は推奨し、変化していったようです。

世界の住宅でも、上記の理由や長持ちするメリットから由緒ある寺院や仏閣でも不燃材料を使った歴史的建造物が多数残っていますよね。
今でも、ヨーロッパ周辺国では屋根に石を葺いている世界遺産の街もありますし。

今の日本の屋根の種類も時代や建物の種類で使われているものが異なります。

 

2)屋根の種類

(1)スレート

 セメントを薄板状にして成形され、日本の新築で最も使用されており、安価で軽量でカラーが豊富です。
非常に軽量のため、住宅倒壊リスク低い反面、メンテ量多く凍害弱い傾向があります。
素材の耐用年数は2530年ですが、メンテナンスには10~15年で再塗装が必要となります。
立地条件や気象状況に応じて劣化スピードが異なる為、5年点検を行う事をお勧め致します。
新築時の費用は4,000/㎡位でとても安いです。

 

(2)陶器瓦

粘土瓦に釉薬を付けて焼成したもので、日本の伝統的な瓦(本瓦)です。
その分高額ですが、カラーが豊富です。耐火・耐水、防音性が高く、夏は涼しく、冬暖かいです。しかも長持ち。

ですが、重くて、費用が高い、落下リスクもある為注意が必要です。
耐用年数は、50~60年で非常に長いですが、定期点検(漆喰、下葺材)は必要です。
新築時の費用は、@7,00012,000/㎡が目安です。

 

(3)セメント瓦(コンクリート瓦)

 セメントと川砂を混ぜて成形したもので、耐火性があり、形状や色が豊富です。
ですが、衝撃に弱く、今現在生産が終わっている。塗膜剥がれや色褪せし易すいのも特徴です。
耐用年数は、3040年となりますが、10年で塗替えが必要です。
新築時の価格は、@6,0008,000/㎡となります。

 

(4)ガルバリウム鋼板

アルミ:55%、亜鉛:43.4%、シリコン1.6%の成分割合となり、表面メッキを加工した鋼板で出来ています。
金属屋根でシェアNO.1で、防食作用、防水性、耐震性は高く、コスパも高い。しかも加工が容易です。
しかし、断熱性、遮音性は低く、施工業者も少ない為、施工費が高く、メンテナンスも注意が必要です。
耐用年数は短く、2530年となり、1年に1度の水洗いや5年に1度の点検、10年毎に再塗装が必要不可欠なので、ずぼらな方はお勧めしません。
新築時の費用は、@6,0009,000/㎡位です。

 

(5)ジンカリウム鋼板

 ガルバ鋼板に石粒を吹き付けコーティングしたもので、ガラス質に変化するため、塗装不要で塩害に強い。
輸入ものが多いのが特徴。耐熱性、遮音性、断熱性、防音性に優れ、軽量で耐震性もあります。
その分価格高く、耐用年数は、3050年となり、メンテナンスフリーなのが嬉しい。
価格は、@8,50015,000/㎡位です。

 

(6)トタン

 最近の住宅ではほとんど見かけなくなったが、鉄板を亜鉛メッキでコーティングしたもので、材料、施工費共に安く、軽量のため、むかしは良く使われていた。
初期費用が低く、施工期間短いが、各性能値は低く、錆、色褪せ、チョーキング、塗膜の剥離・膨張リスクが高いのが懸念点である。
耐用年数は、1020年で、5年ごとに再塗装が必要。
価格は、@4,500円~/㎡とかなり安い。

 

(7)アスファルトシングル

 グラスファイバーにアスファルトを塗装し、表面に石粒を吹き付けシート状に成形したもの。
北米やカナダでは80%以上のシェアを持つが、日本での普及率は低く、施工費も高い。
耐久性に優れてるため、メンテナンスサイクルも長めとなり、防水性・防音性には優れている。
耐用年数は、20~30年で、10~15年で再塗装が必要。
価格はピンキリで@3,50016,000/㎡位です。

 

(8)銅板

 素材は銅。古来、神社仏閣で多く利用され、趣のある純和風住宅向きである。
緑青が生じて耐久性・耐震性が高く、局面にも利用し易く、衝撃にも強い。
しかし、凹み、傷に弱い。耐用年数は、60年以上と非常に長く、しかもメンテナンスフリーという特徴を持つ。
価格は、@18,00020,000/㎡と高い。

 

(9)ステンレス

クロムやニッケルを含んだ合金で、軽量でサビに強く、ガルバリウム鋼板より耐久性に優れている。
しかし、施工単価が高く、断熱性と防音性は低い。紫外線や経年劣化によって色褪せがあるので要注意。
耐用年数は、50年と長いが、10~15年毎に再塗装が必要。
価格は、@10,00014,000 / ㎡位です。

 

(10)天然スレート(石)

 素材は、天然石で粘板岩。地殻変動による変成作用(高温・高圧)によってできた岩石で、長持ち、フリーメンテナンス、風合いが良いという特徴を持つ。
しかし、価格が高く、相対的に重い。粘板岩である石内部に錆成分が多いと、石が層になって剥がれてくる恐れがある。

耐用年数はかなり長く、メンテナンスもフリー。
施工も引掛け工法だと施工も簡単なので、コストパフォーマンスは最も高い。

 

【屋根の種類のまとめ】
 それぞれの屋根の種類の素材、特徴、その屋根のメリットやデメリット、耐用年数、メンテナンス時期、価格を一覧表にしてみました。
皆様はどの屋根を使いますか?

 

 

3)屋根の形状

屋根の種類もたくさんありますが、その形状も地域特性や好み、費用も異なるのでそれぞれの特徴を理解して採用したいものです。

(1)切妻屋根

切妻屋根
三角屋根とも呼ばれる最もベーシックな形状で、2方向に傾斜している屋根。
雨水が流されやすく、和風・洋風どちらにも対応し、換気がしやすいメリットがある。
妻側は、雨・風に弱く、太陽の光にさらされやすく劣化しやすいデメリットも。

 

(2)寄棟屋根

寄棟屋根
4方向に傾斜しているため、風雨や紫外線のダメージを分散できる特徴があり、バランスの取れた形状、景観が良い、方向を選ばない、耐風性・耐久性高いというメリットがある。
逆に棟が多いので、雨漏りのリスク高い、建築時のコストがやや高い。

 

(3)片流れ屋根
片流れ屋根
棟から1方向に傾斜した近年よく見られるデザイン特徴の屋根。
屋根勾配の高い部分の室内空間が増えるが、外壁の劣化リスクがある。

 

(4)方形屋根
方形屋根
家の中心を頂点に、4方向に傾斜している屋根で、4面で雨風を分散するため耐風性高い特徴がある。
棟が多いので雨漏りのリスク高いのがデメリット。

 

(5)入母屋屋根
入母屋屋根
昨今の屋根には人気が無く、瓦屋根に用いられる和風住宅に適した形状。
屋根裏の通気性が高く、断熱性に優れているが、価格は高い。

 

(6)招き屋根
招き屋根
2面の屋根が段違いで設置されています。
風雨を分散させるため耐風性に優れ、住宅の通気性や断熱性を確保しやすい形状となっています。

 

(7)はかま腰屋根
はかま腰屋根
切妻屋根の棟を平面にカットしたような屋根形状で、道路斜線制限や高さ制限に対応しやすい。
しかしながら、棟が増えるので雨漏りのリスク高い。

 

(8)陸屋根
陸屋根
傾斜のない平面状の屋根で、土地面積の少ない住宅の屋上の有効活用として都心部で良く見かけます。
屋根スペースを有効に使えるが、風雨や紫外線を分散できないため、メンテナンスの頻度は高くなり、比例して費用も高くなります。

 

【屋根形状のまとめ】

屋根形状
このように屋根の種類や形状がたくさんありますが、屋根は人でいう頭の部分なので、屋根によって家の印象も大きく変わりますので、気象や地域条件、生活スタイルや好みにあった屋根を選んでくださいね。

この記事を書いた人
株式会社トミス建設