えっ!?『おコメ』が接着剤2023年9月16日(土)
[住宅建材]
最近、各地域でお米の収穫を行っている情景を見かけることが多くなってきました。
季節はまだまだ暑いですが、各地での様々な農作物の収穫の時期となり、食も非常に楽しい季節になってきています。夏の日照りによる水不足や台風などの災害から逃れ、収穫のこの時期に至っていることを考えると非常に感慨深いものがありますね。
今日は、そんな収穫時期であるお米にまつわる内容として、米のりについてお話したいと思います。
目次
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1)天然の接着剤の歴史
(1)うるし時代:西暦300~800年
(2)にかわ時代:西暦900~1000年
(3)でんぷん時代:1200~1300年
2)接着剤の分類
3)米のりの特徴
4)米のりの強度
5)『米のり集成材ができるまで』
6)まとめ
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1)天然の接着剤の歴史
接着剤の歴史は古く、記録としては紀元前14~15世紀にエジプトでにかわを使って合板を製造したことが最古といわれています。
日本では、漆(うるし)、膠(にかわ)、でんぷん糊(こめ)などが利用されてきました。
明治の文明開化までは、新しい接着剤が外国から紹介されることもなく、これらの伝統的な接着剤が生活の中に広く浸透していきました。
(1)うるし時代:西暦300~800年
漆は、日本の記録によると最古の接着剤と言われています。あずさ、つげを材料にした丸木舟や弓、器物に使用されてきました。
(2)にかわ時代:西暦900~1000年
鹿から採取された『にかわ』を使用していましたが、後に魚から採取する『にべ』が弓、かぶと、鎧などの高級品として使用されていました。
(3)でんぷん時代:1200~1300年
もち米やこめ、小麦を原料とした『続飯(そくい)』や『しょうふ』と呼ばれた接着剤が経巻や仏像、家具、建具などの木製品に使用されていました。
2)接着剤の分類
接着剤は、主に無機物から構成される『無機系接着剤』と、有機物から構成される『有機系接着剤』に大別されます。
『無機系接着剤』には、モルタルやケイ酸ソーダ、セラミックなどの種類があります。
『有機系接着剤』には、でんぷん系やタンパク系、天然ゴム系の接着剤、合成樹脂系接着剤があります。
タンパク系には『にかわ』、でんぷん系には『米のり』があります。
3)米のりの特徴
お米は熱を加えるとα化(高分子化)し、固まるとセルロース:木と同じようなものに変化します。
そのため、一度接着すると剝がれにくいという特徴があります。
それは、木と米のりの成分であるセルロース(化学式:C6H10O5)がともに同じ成分だからです。
つまり、木と木をくっつける時に、気温や湿度によって木が膨らんだり、収縮しても米のり自体が木と一体化するということです。
しかも、身体に悪いものは一切含まれず、接着剤としての寿命も非常に長く100年以上も持つと言われています。
ですが、米のりのデメリットには、瞬間でくっつくわけではなく、きちんと接着するまでに1日以上かかってしまいます。
また、直接米のりの接合部に水がかかってしまうとはがれやすくなってしまいます。
4)米のりの強度
米のりの強度は、みなさんが持っているイメージとはことなり、かなり強いです。
しかも、持続性が高く前項の通り100年以上持つようです。
ただし、接着する物質に制限があり、木に限定した場合です。
『株式会社無添加住宅』で実験をした際には、木工用ボンドと同じ強さであったようですね。
〈木と接着剤の化学式〉
〈参考サイト〉
参考サイト
https://note.com/mutenkastyle/n/n0e5dfc7d3779
5)『米のり集成材ができるまで』
でも、なぜ木を一枚のものとして使わないのでしょうか?
それは、木の特性上時間の経過とともに木の内部に含まれる水分が増減すると、どうしても反ったり
曲がったりしてしまうのです。
そこで、木の曲がりを最小限のものにするため、木を互い違いにすることで曲がりを防いでるのです。
米のりは強度が高く、持続性もあり、安全性も高い接着剤です。
この米のりを使った木材は、どのように作られ、どんなものにつかわれているのでしょうか?
米のり集成材として製造され、水に弱い特徴もあるため、住宅内の机・テーブルやキャビネットや収納、扉や棚などに使われています。
〈 施工事例 〉
6)まとめ
米のりは伝統のある接着剤であり、強度も高く、長持ちし、安全性が高いのが特徴です。
ですが、水に弱いため、室内などの水に濡れない場所に限定して使用することが必要です。
適材適所に使用することで、健康にも気を遣う必要もなく、長持ちすることでコストパフォーマンスもよい。
こんな素晴らしい『食べれる接着剤』はとても面白いですね。
米のりでご質問があれば、下記URLよりお問い合わせください。
問い合わせ先
https://natural-house.co.jp/inquiry/
この記事を書いた人
自然素材ハウス(株式会社トミス建設)