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家の空気について2023年11月16日(木)

[住宅業界]

みなさん、ここ最近非常に寒い日もあれば、昼は暖かい気温になったりと体調を整えることが難しくなってきていて、ちょっとづつ家の暖房も使用する季節になってきていると思います。
暖かい家

そこで今回は、最近の国が推奨する家づくりの方向性として『気密』『断熱』を重視しつつあります。
【参考サイト】https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001323205.pdf

つまり、一回室内を暖めた空気を外部に逃がすことなく暖かくし続ける環境にするということです。

今日は、この室内の暖かい環境の裏に潜む大事な空気の話をしたいと思います。

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【目次】
1)気密・断熱住宅とシックハウス症候群の歴史
2)国土交通省が求める家づくりと方向性
3)忘れてはいけない室内空気環境とその弊害
4)自然素材なら安全?
5)健康被害を増大させないための家づくり
6)まとめ
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1)気密・断熱住宅とシックハウス症候群の歴史

かやぶき屋根

日本の昔の住宅は、気候の特徴である高温多湿が影響し、夏型の家づくりがメインでした。
そのため、夏の日差しを防ぐために屋根と庇を有効につくり、影をつくって直射日光を防ぐというものが一つでした。
加えて、団扇を使うのと同様に、風通しを良くするために間取りや通気を工夫し、涼をとっていました。
当然、当時は電気もありませんので、水を使って庭先や道路に「打ち水」を行っていたことも暑さから逃れる手段だったんですね。

【参考サイト】高気密・高断熱

https://www.njkk.co.jp/blog/?itemid=44&dispmid=764

冬場は布を被ったり、着物を羽織れば暖を取ることができるという発想ですね。
つまり、夏場は上記のように涼を取っていましたが、冬場は二の次という考えです。

それともう一つ、夏型の家づくりを行った理由として、家を丈夫で長持ちさせることが大きな理由でした。
通気を行うことで、しっかりと木材を乾燥させることが長持ちの秘訣であったのです。
これは、今でも通気工法を長持ちする家づくりとして採用している住宅もありますよね。

昔は、北海道のような極寒地には人があまり住んでおらず、建っている住宅も本州で採用されていた住宅であったようです。
しかしながら、明治時代には軍事訓練を行う場所や開拓地の拡大を目的に北海道の活用機会が増えてきました。
寒さに耐えれるようにと住宅内の断熱材が使われ始めたのが、第2次世界大戦後のようです。
昭和28年に道民の声に応えるように「北海道防寒住宅建設等促進法」が制定され少しづつ暖かい家づくりが進んでいきました。
その当時は、オガクズ、モミガラ、ワラクズなどの木材や草木を利用したものを活用したものであったようですね。

高度経済成長期には、グラスウールが使われ始めましたが、1970年代前半のオイルショックで省エネ化が進み、今までの断熱材を倍以上使い、エネルギー消費を少なくする動きも活発化していきました。

当時は、断熱効果を高めれば暖かくなると思ってやって参りましたが、なみだだけ事件が明るみに出ます。
それは、寒暖差による結露です。その結露の水分が木材腐朽菌であるなみだだけを成長させ、新築3~5年後に床が抜けると思いもよらぬ現状が頻発しました。
折角あったかくした家なのに、家の機能を果たさない現象に世の中はショックに見舞われ、その後国が対策を講じることになりました。
そして、それは暖かいだけではダメで、家の無駄な隙間をなくす必要があることに気づき対策を講じることになります。
それは、気密性能も同時に上げるということです。

ようやく暖かい家が出来上がり、業界や住宅購入者が喜びの声を上げたのも束の間、次は室内の空気質の問題にぶち当たります。
新築であればあるほど、頭痛がする、のどがイガイガする、めまいがする、目がしょぼしょぼする。などなど、、、
当時はその原因がよくわからず、病院にいって検査はするものの、診察時はその症状もあまりなく、原因不明な病気と診断されたようです。
そうです。それがシックハウス症候群であったのです。
これは、室内で使用した化学物質を使った住宅建材が主な原因でした。
当時は、高度経済成長期で早く・たくさん・安く家を建てなくてはならず、その方法として石油由来の建材製品を多用したことで空気が汚れ人体に害が及んだのです。
空気は色がついておらず、その状態は匂いでしか判断することが出来なかったのです。
しかも、前述のように人によっては全くその症状がなく、特定の人だけが症状を患うため、変な人とその人間が疑われることにもなったようです。
それが2000年前にようやく「シックハウス症候群」という名前が世に知ら締められ、換気という概念の重要性が謳われました。
そして、2003年に建築基準法改定時に24時間換気システムの設置義務を設け、症状改善につながっていったのです。

現在では、上記対策に加え、その原因物質である「ホルムアルデヒド」の使用制限を商品製造メーカーや建材メーカーなどに課し、健康被害の最小化に努めていますが、あらゆる方法でコストダウンや規制対策を建材提供側が行っています。
結果、対策を行ってはいるもののシックハウス症候群の対応策は十分とは言えない状況になっているのが現状です。

2)国土交通省が求める家づくりと方向性

ここ数年で人口減少の話題が出てきていますが、その影響を受け地方都市を中心に相続問題や空き屋問題が取り上げられるようになってきました。
加えて、地球温暖化を中心に様々な問題が起こっており、そんな危機感から、世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、課題を整理し、解決方法を考え、2030年までに達成すべき具体的な目標を立てました。
それが、世界規模で持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)です。

【参考サイト】SDGs

https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/

日本の家づくりでも経済産業省が下記のような発表をしています。

【参考サイト】「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210823001/20210823001.html

その内容は、下記の通りです。
(原文まま)国土交通省、経済産業省及び環境省は、令和3年4月より「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」において、6回の議論を重ねてきました。
この度、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」をとりまとめましたので、公表します。
と。

  • 2050年:ストック平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、導入が合理的な住宅・建築物において太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入が一般的となること

  • 2030年:新築される住宅・建築物についてZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていること

上記のように、家づくりの方向性には、地球温暖化が根底にあり、脱炭素を行うためにエネルギーの自給自足を奨励していますね。大手ハウスメーカーには太陽光発電の設置義務を課したり、消費者には補助金等を出して設置の加速化を図っています。

3)忘れてはいけない室内空気環境とその弊害

昔の家と比べ物にならないくらい日本の住宅は機能性が高まり、冬は暖かかく、夏は涼しくなってきています。
世界基準との比較では、まだまだ課題が多くこれからもあらゆる住宅性能の向上が求められていくことは間違いありません。

ですが、その住宅性能のどこを重要視していくかで家づくりの方向も変わってくることでしょう。

例えば、日本の住宅の寿命は約26年と住宅購入に銀行ローンを使うことが一般的ですが、ローン期間は35年が一般的です。
つまり、住宅の寿命を過ぎているにも関わらず、ローンだけが残っていますという変な現象です。

その原因は、何なのか?
住宅建築を行う際の建材の寿命が大きくかかわっています。
言い換えると、住宅の骨組みである柱・梁・土台に一般的には木材が使用されますが、その木材には接着剤が使用されていたり、引き渡し時には綺麗で美しいと思える壁・天井・床の建材には化学物質が含まれているものが使用されているのです。
その接着剤の寿命が切れると、当然その効果の役目を終え、剥離や倒壊に繋がってしまいます。すぐに倒壊はしませんが、雨漏りや傾きが起こり、不具合が生じるようになります。
メンテナンスを行うことでその寿命を延ばしているのが現状ですが、新築時同様接着剤を使用すると寿命の延長と引き換えに空気質の悪化を伴います。

24時間換気システム等で換気をすれば良いと考えているのが国なのですが、実態としては換気不十分で体調不良やその症状を発症している方も増えているのが現状です。

空気は、平均で1日20㎏前後摂取しています。
食事でいうと1日2㎏前後になりますが、その約10倍もの量を摂取しているのです。
その空気が身体によくないものであれば、いくらオーガニック食品だ、ミネラルウォーターだと言ったところで、空気の摂取量の方が多いのでどうなんだ?という疑問が生じます。

【参考サイト】ダイキン

https://www.daikin.co.jp/school/class04/lesson01

しかも空気は選ぶことができないという点にも着目したいところです。

4)健康被害を増大させないための家づくり

前項でも申し上げましたが、健康づくりはあらゆる要素が必要ですが、生活基盤である室内での生活時間はひとそれぞれですが、非常に長いです。
特に人体に影響を及ぼす化学物質は、空気より重いため、ひざ下30㎝に漂う傾向にあります。
つまり、ひざ下30㎝での生活には注意が必要です。
特に、赤ちゃんや小動物はこの空間にいることが多いと思います。しかも免疫も乏しため、大人が注意してあげないとなりません。

人は、空気を場所で選ぶことができません。他の飲食物とは異なります。
その空間の空気を綺麗なものにしたければ、身体に悪い空気を出さない空間にするか、空気清浄機で空気を浄化するか、常に換気が出来るように窓を開けっぱなしにするかくらいなものでしょう。
その中であなたがどのような対策をとり、生活するかは、非常に重要な問題であると考えます。

室内空気を気にせず、安心・安全に暮らすために空気を綺麗に保つには、無機質の建材を使い、自然素材の中でも揮発性有機化合物が出ない素材を強くお勧めします。
自然素材でも薬剤処理や接着剤をしている建材は空気質を安心・安全な環境という視点では意味がありません。
本当の自然素材を扱っているメーカーや工務店に相談し、表面的な内容だけに捕らわれず建材選びすることが重要です。

5)まとめ

国が推し進める家づくりは、省エネ住宅です。
その省エネ効果を高めるためには、高気密・高断熱が効果的です。
しかしながら、住宅性能を高めれば高めるほど、室内の空気質に気を付けなければならず、室内で使用する建材にも配慮すべきです。
空気は選ぶことはできません。色が見えない空気だからこそ、家づくりの際の建材選びは慎重に行っていただきたいものです。

この記事の内容への質問やご意見のある方はこちら

https://natural-house.co.jp/inquiry/

この記事を書いた人
株式会社トミス建設(屋号:自然素材ハウス)