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天然塗料のベンガラ2023年12月31日(日)

スタッフブログ

みなさま、今年もあとわずかとなりました。大掃除や新年を迎えるにあたっての準備で大忙しの毎日なのではないでしょうか?
長年暮らしていると、紫外線や生活による経年変化によって様々な箇所の色が擦れ、元々の色が薄くなってくるのではと思います。

 本日は、『色』についてお話してみたいと思います。
昔は、色といっても今のような蛍光ピンクやスカイブルーといった色合いを出すことは出来なかったことでしょう。
その原点である色やそれを表現した絵画は、いつどのように描かれていたのか?に触れてみたいと思います。

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【目次】

1)ベンガラとは、
2)昔から親しまれたベンガラ製品
3)ベンガラが出来るまで
4)ベンガラの特徴
 ①自然素材ならでは
 ②ベンガラの色数ラインナップ
 ③身体に優しい素材
 ④経年劣化しにくい
5)まとめ

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1)ベンガラとは、

 天然の赤鉄鋼として産出する酸化鉄であり、人類が最初に使った赤色の無機顔料です。
フランス南西部の「ラスコース洞窟」での赤色壁画は、約17,000年前に作られたものです。
一方、日本には中国から輸入したことで広がり、縄文時代には赤色のベンガラを施した埴輪や土器などに使われており、5,500年前の青森県三内丸山遺跡からは、赤漆の土器が出てきています。
その後は建築塗料としても使われるようになりました。
京都でみられる落ち着いた赤茶色の『紅殻格子』が身近な使用例です。
ベンガラは和風なデザインとの相性が良く、京都の古き良き景観にもなじみやすかったようですね。

【参考サイト】

ベンガラ塗料の特徴とメリット・デメリット

2)昔から親しまれたベンガラ製品

 ベンガラは、日本の暮らしにも古くから根付いている素材で、その品質の素晴らしさから陶磁器の模様書き(九谷、有田、伊万里、薩摩等)や漆器の下塗り(輪島、讃岐等)、家具塗装、家屋のベンガラ塗り、染料、朱肉、船舶錆止めなど、非常に広範囲なものに使われてきました。
柿渋と混ぜて塗料に使用すると、防水、防虫、防腐などの効果がより発揮されます。
そんな長年の間愛され続けてきたベンガラの独特のカラーは、日本人のこころの奥底に残る故郷を彩る、懐かしい色の一つなのかもしれませんね。

3)ベンガラが出来るまで

 ①ベンガラは銅山から銅鉱石と共に産出された硫化鉄鉱石としている。また銅山の捨石から偶然発見されたと言われる。
 ②焼鉱場で鉱石を釜状に積み、約30日間焼き続ける。その後溶解や溶液濃縮、乾燥などを経てロウハという淡い緑色の結晶が出来る。
 ③原料のロウハを乾燥させ、焙烙(ホウロク)に盛り、700℃くらいの火力の釜にて1~2日焼くと赤褐色になる。そこから数回窯焼きを繰り返す。
 ④焼いたものに水を加え、かき混ぜる。段階的に水洗いし不純物を取り除き、さらに粗いものと細かいものに分けていく。
 ⑤より細かいものにするため、水車を原動力とした石臼を引く。水を加えながら石臼で引き、さらに細かく泥状にしていく。
 ⑥ベンガラに含まれる酸分を抜くため、きれいな水を入れて10~100回くらいを繰り返し酸を抜く。それを乾燥させれば製品のベンガラの完成です。

4)ベンガラの特徴

紅殻または弁柄とも表記されるベンガラは、古代から使われてきた顔料の一つです。

弁柄

 ①自然素材ならではの風合い

 自然素材であるベンガラ塗装の織り成す優しい色合い、風合いはペンキには表せないものがあります。
 無添加住宅では、壁材の漆喰に混ぜたり、無垢の木に塗装したりしてベンガラを使用しています。
 内壁の一部に塗装することで室内空間にアクセントをつけることが出来ます。
 また、自然素材ならではの日々の経年変化を感じていただけると思います。

 ②ベンガラの色数ラインナップ

 ベンガラは土からとれる酸化鉄が主な成分であり、暗み赤みを帯びた茶色が特徴的な顔料ですが、ベンガラには赤だけでなく、褐色や黒色、黄茶色などの調合と焼成温度によっては赤系以外の色をつくることも可能となりました。
 京都でみられる落ち着いた赤茶色の『紅殻格子』が身近な使用例です。
 ベンガラは、和風なデザインとの相性がよく、京都の古き良き景観にもなじみやすいのが特徴です。

 ③身体に優しい素材

 ベンガラは無機顔料なので、余計なものが含まれていません。
 粉末状になっているベンガラは水に溶けないので、塗装する場合は有機溶剤が必要になります。
 そのため、天然の代用品としてシンナーの代わりに焼酎のアルコール分で溶かし、付着成分としては豆乳のたんぱく質を使って色付けします。
 刺激臭がなく、毒性もないため施工者にとっても住人にとっても安心安全な身体に優しい塗料が提供できるようになりました。

 ④経年劣化しにくい

 顔料には、大きく「有機顔料」と「無機顔料」に分かれます。
 有機顔料は、石油などから構成される合成顔料のことで、対して無機顔料は天然の鉱石や金属の化学反応によって得られる酸化物などから作られる顔料のことです。
 無機顔料であるベンガラは、対候性、耐久性に優れているという特徴を持ち、経年変化しにくい素材と言えます。

5)まとめ

ベンガラは、天然の赤鉄鋼として産出する酸化鉄であり、人類が最初に使った赤色の無機顔料であるが、昨今では有機顔料と無機顔料の2種ある。
日本の暮らしにも古くから有名な陶磁器にも使われており、その他家具塗装、家屋のベンガラ塗り、染料、朱肉、船舶錆止めなど、非常に広範囲なものに使われてきました。
現代で使われている塗料とは一風変わった風合いが現代になっても好まれている塗料です。

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この記事を書いた人

株式会社トミス建設(屋号:自然素材ハウス)